素人サブカル批評

草映画ライターとして映画評論。たまに他のサブカル評論。

バカ映画時報 番外編①

ロードショーものを扱っていたバカ映画時報ですが、

さすがにロードショーばっかり観ているほど暇ではないので、

TV,DVD,amazonビデオ等々で日々観ている映画もメモっておこうと思います。

 

映画館って1800円かかるじゃん?いわゆるバカ映画は大好きなんだけど、別に映画評論で金を稼いでいるわけではないので、1800円を毎週どぶに捨てるわけにはいかないんですね。だから、実はバカ映画時報としての本分はタダ乃至月額単位でバカスカ観られるこっちの方が観てたりするんですよ。

今回お送りするのは、ある1日で私が8時間ぶっ続けで観た映画4本。真面目→バカ→真面目→バカという順になっているのは、真面目な映画ばかり観ていると、バカになっちゃうからです。

 

さあ、1本目

『ボーダーライン』

これはリゾートビーチの片隅に人間の生首が置いてあるというジョン・ウォーターズもびっくりの趣向をこらすことでお馴染みのメキシコ麻薬カクテルとCIAの小競り合いにFBIの女性捜査官が巻き込まれるというお話。

監督は『ブレードランナー2049』を監督したドゥニ・ヴィルヌーヴ。カルト映画のリメイクってほぼ100%失敗する(カルトの信者は聖書の書き換えを認めてくれないからね)のだが、その割に好意的に捉えられているので、いい監督かもしれない。『灼熱の魂』という映画が代表作で、これはいい映画ですのでぜひ。

「ボーダーライン」という名前が示すとおり、この映画、色んなところでボーダーラインを超えます。

・まずメキシコとアメリカのボーダーラインを超えます。

・CIAが法のボーダーラインを超えます。

・女性捜査官が※※※のボーダーラインを超えます。

ちなみにこの映画の主人公のFBI捜査官ケイト・メイサーはエミリー・ブラントが演じています。エミリー・ブラントと言えば・・・『プラダを着た悪魔』のメリル・ストリープの秘書役であり、トムさん映画(トム・クルーズのための映画)『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のヒロインであり、英語版『風立ちぬ』の菜穂子の声をやった人です。もうお分かりでしょう。書いている僕は全然出てたの覚えてないですが。

映画自体は普通に見れる面白い映画です。ただ、僕の印象に一番残っているのは、当初ケイト・メイサーが麻薬撲滅班に入った時に上司のおじさんがCIAであることは知らないんですが、おじさんが非合法な事をする度、「あなたCIAでしょ!」って詰め寄るんですね。アメリカでは「非合法な事をするおじさんはCIAである」という共通理解があるんでしょうか。FBIにも非合法なおじさんはいそうなもんですが・・・。

ということを考えている間に終わる映画でした。

 

はい、2本目

『エイリアン3』

なぜ、3なのか。1でも2でもなく。

それは僕の家のHDDの中に3だけ入っていたからである。

3といえば、デヴィッド・フィンチャーが監督デビューし、シガニー・ウィーバーに「お前が一番エイリアンだよ!!!」と激怒された(これはリドリー・スコットという説もある)上、めちゃくちゃに酷評されて、「俺、もう映画撮らない!」ってなりかけちゃったでお馴染みの映画。その後、フィンチャーは『セブン』という読後感が最高に最低な映画や『ファイトクラブ』という全ての人が青春に1回くらいは観た方がいい映画とか『ソーシャルネットワーク』でFacebookの創設者を描いたりしてファンが「フィンチャーも丸くなったなぁ、うんうん」と思っていた後、『ゴーン・ガール』という読後感最悪の映画を撮って、「あ、こいつそっち側の人だった~忘れてた~」となる、そんな映画監督に成長しました。

3がまず酷評されるのは冒頭、2であれだけ(観てない人は観てね)頑張った人たちをエイリアンと全く関係ない筋で10分以内にリプリー(シガニー・ウィーバーね)以外全員殺すという離れ業をやってのけたことが一番の問題ですね。

その後、エイリアンとの戦いが始まるわけなんですが、フィンチャーは身長180cmで1,2でエイリアンと死闘を演じた戦士リプリーウィーバーさんお世辞にもエロいとは言えない)にナゾのラブシーンをぶっこんだり、丸坊主にしたり、リプリーのお腹の中にエイリアンの赤ちゃんがいるというサイコ展開を作ったりとやりたい放題。

エイリアンの造形自体は男性器を模しているのは有名な話ではあるんだ。だからリプリーというのは男性器と闘う強い女性、ということでメタファー的にフェミニズム勃興の時代のヒーローだったりするわけなんですが、まずいつ寄生したんだろう・・・という疑問が1点、結構でかいけどリプリー気づかないの?っていうのが1点、など疑問が次々湧いてきてエイリアンに集中できない。

ただ、色々言われる本作ではありますが、『エイリアン1』の「絶対強者のエイリアンからいかに逃げるか」というのが主題に置かれていて、『2』で1回脱線してエイリアンと闘う路線から、回帰しているわけです。実はディレクターズ・カット版とか結構評価されたりしているので、観てみてください。

 

フィンチャーつながりで3本目

ドラゴンタトゥーの女

フィンチャーは猟奇殺人が大好きです。『セブン』から始まり、『ゾディアック』『ゴーンガール』と、人をいかに変態的に殺すかということを映画の主題に置いています。

ただ彼の狂気はしれっと『ソーシャルネットワーク』とか『ベンジャミン・バトン』とかヒューマンな映画を間々挟んでくるところにあります。

この映画の中で人は死んでいないですが(死体のシーンがないだけです)、フィンチャーはこの映画で「人を殺さなくても、変態は描ける」という境地に達したようです。

①ヒロインが変態

②ヒロインの後見人が変態

③犯人が親子二代で変態

④なんなら主人公もある意味変態

ということで、出てくる人間で変態じゃない人間がいないんですね。ただ奇跡としか言い様がないのが、変態しか出てこないのに、物語自体は非日常な感じはせず、結構淡々と進んでいきます。

たぶんフィンチャーのメッセージは「人類は皆変態だ。あなたの横のその人も変態だ。」ということなんでしょう。

変態が出てくる映画が好きな人はぜひ観てください。

 

やっと最後の4本目

『プロジェクトA』

だんだん疲れてきました。

ジャッキーチェンが主演・監督・製作した香港映画。

1つ大切な教訓があるんですが、だいたい主演・監督が一緒だと駄作になります。注意してください。

この映画観るのはもう5回目くらい(なんでこの映画そんなに観てんだろ・・・)なんで、新鮮さは微塵もないんですが、新しい発見として、OPロールが当然中国語なんですが、そこで題名が「A計劃」とでかい文字で出てきます。なんかクスッときます。

この映画について評することはないし、もういい加減書くのに疲れてきたので、中国映画の雑学をお伝えして今回を終わろうかと思います。

中国映画(台湾映画は別に考えてね)といえば、カンフーだとみんな思うと思います。事実、カンフー映画以外で世界進出したのはジョン・ウーとジャ・ジャンクーくらいのもんで(チェン・カイコーとかもまあいるんですが)、中国映画の遺伝子の85%くらいはカンフーでできていると捉えて頂いて結構です。

ただ、カンフーって実は闘ってないと言われているんです。「いや、殴ってるじゃん!」と思ったそこのあなた!中国では共産党を倒す戦力を持つことを禁止してます。仮に武器じゃなくても超強い個人は基本存在してはいけないんですね。そ・こ・で、「カンフーというのは踊りです」というエキセントリックな理論で乗り切ることになりました。『酔拳』も『プロジェクトA』も基本ジャッキーは踊っているだけです。踊っている過程で手が当たって、相手が倒れるだけであって、特訓も基本的にはよりアグレッシブに踊るための訓練をしているに過ぎないんですね。そういうところまで考えて観ると、この映画がどれだけ、「バカ映画」か~閑話休題~という事がわかって頂けるのではないでしょうか!

 

以上、終わり!