素人サブカル批評

草映画ライターとして映画評論。たまに他のサブカル評論。

映画バカ時報 2018.7.26. 「世の中にはいろんな映画がある1:さよなら、僕らのダイナソー」

出張で東京にきております。

東京出身なので「会社の金で帰省できたじゃん」とか言われたりするのですが

僕は実家が苦手な人なので仕事場から30分ほどの実家ではなく、仕事場から15分ほどのマンスリーマンションで暮らしております。

東京に来て、仕事は忙しいのですが、働き方改革のため、土日が休みです。

マンスリーマンションの部屋はどこか北欧の独房という感じの部屋で、心が荒むので、映画を観に行ったり、配信メディアで映画を観て過ごしております。

 

東京出張も早2週間強になりまして、観た映画が新旧併せまして10本強。

書くにたる映画3本(クソ新作・優秀な新作・旧作で初見)がたまりましたので、

映画評行ってみよう。

長く書くと疲れちゃうので、3回のシリーズ物「世の中にはいろんな映画がある」としていきます。

精神安定剤代わりに書くけど、ネタバレに留意して書くほどには暇ではないので、観たい作品がある人でネタバレに「ネタバレ!」って思っちゃう人は読まないで。

 

『ジュラッシク・ワールド/炎の王国』

今は昔、スティーヴン・スピルバーグという天才が全世界の子供達に「恐竜っているんじゃね!?」って思わせるほどの執念で作り上げた、

『ジュラッシク・パーク』シリーズ。

ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』というスピルバーグが作った2本の監督作。登場人物が地続きの別監督作品『ジュラシック・パークⅢ』。「そして誰もいなくなった」『ジュラシック・ワールド』。

そして、早くも第5作目となりました、今作の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』。

製作総指揮という名義貸しシステムで名前は出ていますが、もうスピルバーグの映画というわけではなくなってしまったなぁ、というのが率直な感想ですね。

 

スピルバーグって怪獣(ジョーズとか、まあ恐竜も怪獣だよね)とかエイリアン(未知との遭遇)とか、映画全体で見たら敵役に当たるクリーチャーたちに対人間以上の愛を込めて描くというのが、映画の特徴としてあると思っているんですけど、この映画ではもうほとんど恐竜愛なんてなくなってしまった。

恐竜檻の中に入ってるし、なんか『ジュラシック・パーク』で実景風の景色をバックに恐竜が闊歩していて、「ウワァ!」というあの感動はどこへやら…

今の少年少女はもうびっくりしないんだろうか。それでも映画館で巨大スクリーンであれ見たら(『ジュラシック・パーク』は1993年の映画なので、僕は再上映で観ました)、「オォォォ!」ってなるのが永遠の少年心なのでは。

 

1作目でジュラシックパーク作った、杖の先に琥珀つけてるおじいちゃんいるじゃん?

あれの友達でほとんど同じような奴が今回出てくるんだよ。

ちょっと精度の低い『スターウォーズ』新始動スタイル。

で、そこまで同じである必要はないと思っていたのだが、殺されちゃうんだよねえ。

何、流行ってんの???

スターウォーズ』新始動スタイルのことを「スターウォーズ・キリングマシーン」って僕は名づけたい気分だよ。

しかも、琥珀のじいちゃん、ちょっとスピルバーグに似てて、「これはスピルバーグ殺し?親殺し的な?」と思ってしまったのだよ。

いいのか、スピルバーグ!お前、監督に殺されてる映画の製作総指揮してるぞ!

 

というスピルバーグのファンとしての哀愁を放って、映画を観たとしても

この映画クソなんだよね。もうね、できの悪いゾンビ映画の類だよ。

遺伝子工学で恐竜が生き返りました!という時点でまあゾンビっちゃゾンビなんだけどそれはさておくとしてだ、もう恐竜が人間が裸で戦うのはまるで無理なモンスターというのを超えて、バイオハザードの次元…恐竜は冒頭こそ、かわいそうな存在として描かれるけど、それ以降は完全な悪者。

観終わった感想は「なんだこれ?」。人間も出てくるやつ出てくるやつ全員醜いやつというか、「殺されちゃう!!!」って心配するより、「よっしゃ、Tレックス、全員食っちまえ!」って気分。

ジュラシック・パーク』は娯楽大作でありながら

・最新鋭映像技術とアナログな特撮撮影を織り交ぜてリアル感を出した恐竜をスクリーンに復活させた

・人間が好き勝手に生み出した恐竜はカイジュウだが、あくまで悪者ではなくて、生態に基づいて行動しているにすぎない。ある種共感できる登場人物のメンバー。

・そこにある人間のエゴに気づけない人間はことごとく死んでいき、気づいた人間は生き残るというメッセージ

・ラストも人間は逃げ切ったし、恐竜たちも人間が作った檻から自由になったという爽快感をもたらす、全編を貫く、スピルバーグの人間愛

が織り交ぜられていた。それはどこへ。僕たちのダイナソーたちはどこへ。。。

 

こんな、クソ映画最初からクソだとわかってて、なぜこの映画を観に行くのか

それはね、最初に「オォォォ!」ってなってしまった自分が忘れられないからでもあるし、最後まで観届けようと思っているから。

だからいいな、1作目に感動した少年・少女だった君たちもこの煉獄からは抜けられないんだぞ!絶対見に行けよ!

 

最後に一言

 

「さよなら、僕らのダイナソー