素人サブカル批評

草映画ライターとして映画評論。たまに他のサブカル評論。

バカ映画時報第7弾

バックナンバー第7弾

アウトレイジ・最終章』 / 北野武

アウトレイジ・シリーズの最後の1作。北野映画が好きで、やくざ映画もバイオレンス映画も好きな私は観に行った。ただ、期待していなかった。
アウトレイジアウトレイジ・ビヨンドと哀しいかな、つまらなくなってからだ。
さてさて、今作は・・・なんと・・・さらにつまらなくなっていた。
暴力映画としての暴力性は北野映画あるある(とりあえず怒鳴る→静寂→突然の効果音抑え気味の暴力)のままであんまし工夫がない。
出てくる変態やくざの変態性も大したことがなく・・・アウトレイジ・ビヨンドから導入された、やくざ世界の権謀術数物語という点でも、「ああ、こいつ裏切るな」という人が裏切り、「彼死ぬな」というやつがちゃんと死ぬという、予想を裏切らない残念さ。
そもそもストーリー構築が裏切りそうな人の裏切るポイントが裏切ることがわかる前にわかってしまうというお粗末さ。
「裏切る」という単語を書きすぎてだんだん疲れてきた。

唯一評価できるかな、と思った点は、「やくざ映画・バイオレンス映画なんだけど、暴力を除いたら、今の日本社会だよね」という、北野武が各種インタビューでも話している部分。確かにやくざもサラリーマンも変わらないといいますか、この映画見ていると世の中の大半のサラリーマンタイプのキャラはすぐ死ぬ。みんな死ぬ。
個人的には死ねばいいのにと思うので、爽快感はある。

ただ、終わり方という点では北野武映画が好きな自分としては「ああ武らしいな」という哀愁とノスタルジーがあって、好みでした。悪口を言うとすると、『ソナチネ』と変わんねえな、おい。というかよく考えたら、途中1回『BROTHER』だったじゃねえか!

まあ、北野武映画好きの皆さんは義務として観とこう。
僕は最終章になってくれてよかったよかった、という気分です。ただ、武の特長として、エンタメ映画を撮った後、勘違いアート映画を撮るという特徴が有るので、次は『アキレスとカメ』みたいな意味不明映画が来るのではないかと戦々恐々としております。

最近、私の映画評の真骨頂(というか「もっと書いてくれ」という要望が強い)である、クソ映画評をなかなかできていなくて、このままでは読者が離れてしまうので、次は誰も観たくない映画に1800円払って観ようと思っております。
信じられないだろ、1800円払って、こんなに頑張って書いて1銭も儲からないんだぜ。

これを観てくれって要望があったら是非。